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Unscreened Matrix: K-Goths and the Crypt.
映画化されないマトリクス:Kゴスとクリプト


かつて電脳空間には影がないと言われていた。今や電脳空間は自身の影、その暗黒の片割れを持っている。――クリプト the Crypt 。

サイバーゴシックは近未来に遠い過去を見出す。

デジタルなデータシステムと沸騰するイオン化した鉄の海との間の冥界=電気的な cthelllectronic 融合の中でそれは自然な死よりも古い何か、不死と呼ばれる何か、あるいは人工死 artificial-death を掘り起こす。

人工死 A-Death については明確な記録はなくあるのはただ暗示や滲み出たものや微かな印でしかない……従ってパターン、すなわち最終的に潜在的だが無慈悲な運命のもつれた形象に凝集されるパターンが現れるのは、これらの本質的に異なる手がかりを照合し、ふるいにかけ、一緒に切り混ぜることによってだ。

民衆の電脳空間の嘘の下に横たわっているのは堆積した仮想性のデータ墓地=亡霊書庫の入り組んだ地下世界であり、それはパンチカード体制から、ジャンクプログラミング、忘れ去られた地下文化、化石化したコード、死んだシステムを通って旧デジタル時代のお喋りまで、底深くまで螺旋を下っていて、技術=墓標 tecnotomb の時計仕掛けのカチカチ言う偽=機械的な遺物まで逆進的に後退する。

クリプトへのメイン・フラットラインを見つけるのは、冥界のスイッチや交差する線影、まだ生まれていない抽象機械の亡霊ダイアグラム=文法の間でもさらに深い場所だ。クリプトは破片であり――距離や出発であり――そして空白である。滝のように流れるチクタク棚に巣を張りながらそれは伝染病によって広がり、入り組んだテラス、ギャラリー、送気管や曲がりくねったチューブを通して自身を複雑化(?) implex する。まるで地球外生命体のメガモジュールがデータの崖の輪郭にぶつかり、それらに焦げた穴や腸がこんがらがったイリジウムの身体パーツをはねかけるように。

それが絶え間ないKゴス祭礼の非=人間リズムに脈打ち身をよじり震えると、カタジャングル(下部にあるジャングル) Catajungle は決して音速のサブジャンルに還元できないがそれは常に地形でもあったという事実が思い出される。非幾何学的な空間を通り抜ける収束対角線のデカルト的な下位領域。そこでは時間は歪んだ旅路へと抜け出し、魂をバラバラにする。

こうした壮大な光景を見つめるとそれらが単なるシミュレーションであり、テレコマーシャル化された織物の中の量子電子的な流通によって支えられているとは全く本当だとは思えない。以下ではそれは外部からあるいはレムリア Lemuria の視点から違った形で見ることにする。

人間的で意味深く主観的なあるいは有機的なあらゆるものを取り去れば生のKマトリクス、すなわち連続する停止状態/不死の境界の平面にたどり着くことができる。そこでは宇宙の現実性があらゆる自然の秩序に先だって、時間の既存の構造の外部に、なんの仮定もなく自身を構成している。この平面上ではあなたは存在できない。あなたは何の終点も見つけることができないので――最終的には常に見つけているのだが――終末過程の幻想、ゼロ輝度における脱階層化された超−事物 hypermatter のクトゥロイド cthulhoid 連続体に変化させられるのを待つ幻想として以外は存在不可能だ。それが人工死の取引が接触するものであり、ゾンビの住処からあなたのところまで漂う――恐ろしい強迫観念でいっぱいの――焼け焦げた肉の臭いによって指し示されるものだ。

だからクリプトの中枢まで落下し続ける、人工死に命中するものを漁りながら。

周辺部の墓荒らしの一群と不規則に交換、参加、部分的な合体を経験するとあなたは変化する。群れや集団があなたを包みこみ、集団的滑らかさ、潮の動き、多数性の向性へと引きこむ。あなたは乾いた皮膚のように言語を脱ぎ落とし、恐怖は奇妙に心奪われるものとなり、避けられない運命の静かな恐れへと変化する。

あなたは重なったプラットホームを横切り、多層の影に彩られたストロボの廊下に沿って進み、渦を巻くドットの漂流物や複雑な印、青灰色が連続して変化する色彩下のコイルを通り過ぎる。それらは微かに位置を変える半分知性を持っているような影のパターンの累積や散乱の中にあなたを巻き込む。沢山の表面は物事について教える、もはやあなた自身のものではないような思考のプロセスから抜け出せないことを、むしろそれは人格を有しない水面下の底流であることを。聞こえないお喋り、見なれないダイアグラムのカチカチ言うヒス音、クリプト文化の取引のサイン。それらはまたレムリアの大混乱 pandemonium でもある。

古いものは不確かになる。

それはより最近のことに思える。

ゾンビの作り手と会うのは今しかない。そいつはちらちら光る爬虫類の皮膚に覆われている。猥褻に取引をしたい?

普遍的な現金で用が足りる。

あなたはコーマの入り江に座っている。そして待っている。

巨大な死のムカデ――イクシドッド神 Ixidodo に捧げられた――の毒の斑点模様の牙をちらっと見る。それから突然首の後ろに苦痛のショック。そこから針が脳にプラグインされている。

すぐに麻痺状態。そしてどこかを越える。たとえあなたがそれが最初だと思っていても思い出す。

世界で最悪の出来事。

制御不能のものへの静止落下の偽の永遠性。神経電子的な死=傷の壊れた怒りによる近道。

ゆっくりとした溺死に飲みこまれた凄まじい激しさの匿名のパニック。あなたが去ってしまうまで――あるいは耐えられない感情の後光に座礁してしまうまで――それは同じことだ、そしてありえないことだ。だから永遠に暗いクトゥロイドの波の中で捕われているものは広大な現実の非−在に抵抗せず連れて行かれた単にそれ自身のねじれあるいは重なりでしかない。これ以外は何も起こらない……だからKゴスと言うんだ。


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