桜井夕也第2作目『NOIR DÉSIR』2007年5月完成



解説
クロームのヴェールに包まれた本作のタイトルは、フランス語で「黒い欲望」を意味する。メガ・サイバー・オーバードーズに神経網を灼き切れること必至の本作は、約2年半越しの作品との格闘、そして著者自身の“サイバー・オーバードーズ”との格闘の末に遂に生み出された。20XXの黙示録となるべく書き下ろされた本作品、19XXの世紀末を幻視[デジャ=ヴュ]するこの作品、あなたの感じるままに感じ、願わくはあなたの「覚醒」の一助とならんことを。
A4版、本文42頁、表紙オフメタル(銀表紙)、700円。
抜粋
俺は"ZEIST GEIST"に着く……サイバー・ゴシックスが氷青の青白いグラスを傾けて、幻覚(らり)っている……「よぉ……」と声をかけると向こうは「今夜は天国だね……お前に堕天使のキスを……」……そいつはオーバードーズ気味なのだろう、微かに震えている……俺は煙草に火を点け、燻らす……一筋の煙がネオンに染まった空に消えてゆく……今夜はギグがあるのだ……結線(ハードワイア)用の刺激的なライブ……俺は入口のバウンサーに手の甲の刺青(タトゥー)を見せる……青白く瞬く"Z/G"の文字……ガードマンは頷き、ドアへ促す……俺は踵で煙草を踏み潰し、狂った夜へと歩き出す……

堕天使がLOADする暴力と退廃……青白い死のネオンが月を照らす……

Zeitgeist

青白い幻覚に侵された悪夢

氷青……ホログラフィに照らされて青白く燃えている……"ZEITGEIST"でSickly Angelsのライブ……俺はXを噛み砕きながら幻覚に酔う……「世紀末の夜、TOKYOは燃えている……」……青白い月の下、堕天使が舞い降りる……

青白い陰鬱な街、TOKYO。焼き鳥屋"MEGA DROME"で金髪の男が店員に怒鳴っていた。「俺のこと覚えとけよ!」耳朶に安全ピン、唇にピアス、氷青にイッちまった目で。メガバイオレンスの堕天使が199Xの世紀末、第2千年紀の始まりを訃げていた。俺は"EINS, ZWEI...."の贖罪に覚醒するボーグをLOADスル悲しみのgefallener Engel。XXXの悪夢は俺を苛み、月の鼓動が俺の頭に埋め込まれた[junk]をレイプする。ネオンが喧騒を灼き、クラブでは今(いま)月で流行りのトランスが流れる。死に似た何かのImitation。俺は青白い鶏冠を揺らし、激しく震える。真夏の焦がれる夜に。俺は吠える。青白く染められた空に。「HAKENKREUZを背負わされた堕天使が今俺の身体に爪を立て、青白い血を流す……」。

青白い月の下、堕天使が嘲笑(わら)う
ネオンが街を灼き尽くすのさ、死神のように

堕天使が青冷めた悪夢(ユメ)で青白い惨劇に狂う

青白い幻覚の悪夢(ユメ)……片目を塞がれ、翼はもがれ、だけど堕天使の声だけは聞こえる。"I will give you a never ending NIGHTMARE::::::::GOD"

Brain Hacker

青白いHAKENKREUZの中、堕天使が[borg]のCHIL:DRENめいた氷青をXXXする……悪夢(NIGHTMARE)……ZWEIの堕胎……

入手方法

こちらのBook Orderのページをご覧下さい。
感想(敬称略)
AKIRA
前作より研ぎ澄まされて、詩的(いい意味で)になったね。
言葉が切っ先の鋭い水晶のようだ。
伊藤裕美
こんばんは!
読みましたよ。面白いという表現は的確ではない気がするけれど、一言で言うと面白かったです。
これがサイバーパンクというものなのか、何この世界観、という感じで一気に読めました。
読み終えてしばらく、青と、黒に近い藍と、銀色だけしかない東京を幻視してました。 天にはクレーターまで見える大きな月も。
こういうのを読んだのは初めてなので、私にはすこし刺激が強すぎる気もしました。
舌が痺れる味がします。ピリピリというより、ビリビリ!
書き手としての感想は、このヒト巧い…。というのが正直なところです。
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