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「サイバーゴシック・ハイパースティション Cybergothic Hyperstition 」
−古きものへの前進―
イリス・カーバー
1998

サイバースペースを黒い鏡みたいなものだと考えてみよう。そこでは時が弾けている。そこにぶつかると君は後ろに進むことになる。テレコマースが我々をネットへと突き進ませるにつれ、より深いところにある古いものが目覚め、それらの復活が始まっているように見える。

そう、たとえばサイバーゴス。

サイバーゴシックは"クリプト Crypt "と呼ばれる地下に隠れたソフトウェア=迷宮に漂いながら、不吉な噂のウェブとして存在している。情報堆積体 infoplex の原初の堆積物の奥深くに埋葬され、デジタル・カモフラージュののろのろと這う霧の中に逃げこんでいるので、それは見つけるのが容易ではない、しかし手がかりはある。

90年代後半における暗黒の地下ジャングルシーンの新参者たちは、ジル・スリッツ Gill Slitz とジャン・トラフィックス Jean Trafix を中心にしたレズビアンヴァンパイアのミックスダウン・サウンドマシーンとしてのクリプトを思い出すだろう(「我々は一団ではなく、一組だ」)。彼らの1997年の非生命CD――渦を巻きながらカチカチ漂う壊死性のラッシュと底知れないベースは"ポストミュージック"の死んだようなポリリズム製品と、荒廃したテクノロジーのナノ未来へアップデートされたパンク・ニヒリズムを示した。

「それはウィンターミュータントな代物だ」とスリッツは宣言した。「基本的に私たちは悪夢なのだ……」

Hyperstitionは表現ではない、偽情報でもなければ神話でもない。

ハイプやハイプすること、ハイパーな普及は、自身がそれ自身をリアルにするため真実かウソか判別できないタイムワープのサイバネティック・フィクションの系統に属している。サイバースペースの地下とクリプトの影響を網で引いてみるのは鮮やかだ。

非生命は広がっている。時間破裂の不吉なテーマ、社会的な熱‐死、人造の文化疫病、人工ドラッグ中毒、コーマへの没頭と冷凍墓地漁り、羊水減数分裂 ameiotic あるいはバクテリオセクシャルな退化、悪鬼じみた振舞い、背骨の破局主義、アクアポカリプス(水性黙示録)のネオ‐イクシオイド(魚)への身体改造……「アウトサイド」からの"恐ろしい、スライムめいた、触手状の嫌悪"への多くの連結とともに。

サイバーゴシックの積荷文化は未来から落ちてきたものによって自らを継ぎ接ぎしている。古代の強烈さのためにそれらを喰らいながら。それはhyperstitionとして普及している。それは何も信じない、「でもあれはUttunulだ、それはすべての下にある。そして嘘は作られた量だ……」

例としてYettuk(2000年問題)を取ろう。それは明らかに作り出されたものだ。プログラムされ埋め込まれたシステムの最も古い層――考えもなく繰り返され、忘れられた数か国語のコードで暗号化されたパンチカード紀元からのソフトウェア遺物――に潜みながら事実上未だ根深いものだとわかる。

何かが起ころうとしている、我々は正確にそれがいつか知っている。

不気味に迫った「実在物」がY2K, Yet-Tick, You-Took, K-Yeti, Yettuk, Yatkaのいずれで呼ばれようとも、サイバーゴス達はクロノセンシティブな電気亡霊――バイノミックな雲――としてそれと相互に作用するだろう。ミレニアムを揺るがすダブル・ゼロの時間=失敗と同時に。

サイバーゴシックは、データ墓地 datacombs に住む様々な外部時間の神秘論者や反グレゴリオ歴の煽動者、暦ゲリラたちの間を相互に行き交いながら、来たるべき時間戦争に備えている。

Yettukの断層を越えて、獰猛なK-datingのサブカルチャーがウェブスペースの溺れた大陸に広がっている。

悪霊に憑かれた大衆がクリプトに集結している。

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